UPSとは
UPSとは「Uninterruptible Power Supply」の略称で、日本語では「無停電電源装置」と呼ばれます。停電や瞬停などの電源障害発生時にバッテリーから電力を供給し続ける事により、システムを安定稼働させるための装置です。一定時間を経過しても電源が復旧されない場合は、接続機器に停止信号を送り、システムを安全にシャットダウンさせる事ができます。
UPSの必要性とメリット
UPSは停電や瞬停などの電源障害だけでなく、電圧変動・ノイズ・サージなどの電源トラブルから大切な機器を保護します。
UPSの給電方式
UPSの給電方式は、大きく3種類の方式に分類されます。
常時インバータ給電(オンライン)方式
入力系と出力系に各々独立したインバーター回路を採用し、無瞬断で異常な入力電力をクリーンな正弦波出力として負荷機器に供給します。 AC入力電源を整流器でDCにします。そのDCからインバーターで出力のAC電源に変換し、負荷機器に電力を供給します。常時インバータ給電方式は、停電時に切り替え時間が発生しないため、瞬停電が許容されない環境で仕様されています。2段の変換回路のためにダブルコンバージョン方式とも呼ばれています。
ラインインタラクティブ方式
通常時はバッテリーを経由しないで、負荷機器に直接電力を供給します。停電時はバッテリーに切り替えて供給を継続します。切り替え時に10ミリ秒以内の瞬停電が発生しますが、サーバーなどは20ミリ秒程度の瞬停電に耐えられる仕様なので、機器は問題なく動作します。常時商用方式と違いトランスを搭載しているため、サージ・ノイズだけでなく、電圧低下と過電圧も保護するので、IT機器用UPSとして数多く使用されています。
常時商用給電(オフライン)方式
通常時はバッテリーを経由しないで、負荷機器に直接電力を供給します。停電時はバッテリーに切り替えて供給を継続します。切り替え時に10ミリ秒以内の瞬停電が発生しますが、サーバーなどは20ミリ秒程度の瞬停電に耐えられる仕様なので、機器は問題なく動作します。しかしながら、トランスを搭載していないため電圧低下と過電圧などの電圧変動を保護できず、商業用途ではあまり使用されません。オフライン方式とも呼ばれています。
正弦波とは 矩形波とは
正弦波
正弦曲線の波形を持つ波で、英語では「sine wave」とよばれます。正弦波出力UPSは全ての電子機器で動作するため、正弦波出力UPSの導入を推奨します。
矩形波
非正弦曲線の波形を持つ波で、英語では「square wave」とよばれます。矩形波出力UPSは安価で済みますが、保護対象機器が正常に動作しない可能性があります。
PFC電源とは
PFC電源とは、「高調波電流」とよばれる電源ノイズを抑えるための力率改善回路(Power Factor Correction)を搭載した電源のことです。最近のサーバは、数多くの機器でPFC電源を採用しています。PFC電源は正弦波を前提として設計されているので、矩形波出力のUPSでは停電時にバックアップできずに電源が落ちるなどの現象が発生する場合があります。PFC電源搭載の機器の電力保護は正弦波出力のUPSを強く推奨します。
イートン無停電電源装置(UPS)にも矩形波出力のUPSがありますが、ダイトロンは正弦波出力のUPSのみを取り扱っております。