停電発生時にNetwork-M2が接続されたUPSと管理ソフトウェアIPP/IPMがインストールされたホストを安全にシャットダウンする設定を解説します。
Network-M2が接続されたUPSをパワーソースにする場合、IPP/IPMはversion 1.61以上が必要になります。
システム構成
- 物理Server 3台
- Eaton UPS 1台
- Eaton Network-M2 FW 2.x.x 1枚
- 各ServerにIPP 1.67インストール済
シャットダウンタイマー
UPSが300秒(5分)間バッテリー運転したら、シャットダウンシーケンス開始。シャットダウンシーケンス開始から600秒後、UPSシャットダウン開始。
Server 1は、シャットダウンシーケンス開始と同時に、シャットダウン開始。
Server 2は、シャットダウンシーケンス開始から180秒後、シャットダウン開始。
Server 3は、シャットダウンシーケンス開始から300秒後、シャットダウン開始。
各Serverは、シャットダウン開始から180秒以内にシャットダウン終了(パワーオフ)する想定です。
上記条件をタイムチャートにすると次のようになります。
シャットダウンシーケンス開始から、シャットダウンシーケンス終了まで600秒必要になるため、シャットダウンシーケンスの開始条件に[UPSのランタイムが660秒を下回った場合]も追加しておきます。この条件を追加しておくと、バッテリー運転した時にランタイムが13分の場合、2分経過したらシャットダウンシーケンス開始となります。
[何分間バッテリー運転したらシャットダウン開始]で考える場合が多いですが、安全なシャットダウンのために[残り時間何分を下回ったらシャットダウン開始]も考慮してタイマーを設定して頂きたいです。また、[バッテリー容量(%)が指定値を下回ったらシャットダウン開始]も設定可能ですが、こちらは時間が読めないのでここでは設定しておりません。
Network-M2 シャットダウン設定
保護 > 停電時のシャットダウン
Output:ON (有効)
電力供給戦略を選択する:[カスタム]を選択
【実行条件】
バッテリーが次の時間使用中の場合はシーケンスを開始するxxx秒:300秒
(バッテリー運転時間が設定値を経過したらシャットダウンシーケンス開始)
[開始]シーケンスxxx秒バックアップ時間の終了前:660秒
(バッテリー残り時間が設定値を下回ったらシャットダウンシーケンス開始)
下記画像の通り設定します。Output Group 1と2はチェック不要です。
下にスクロールして右下の[保存]を押します
保護 > エージェント設定
OUTPUTの名前:ローカル、OSシャットダウン時間(秒)にシャットダウンシーケンスに移行したあとにUPSがシャットダウンするまでの待機時間を入力します。
300秒バッテリー運転したら、600秒後にUPSをシャットダウンさせたいので600を設定します。Group 1と2は設定不要です。
Server 1 シャットダウン設定
UPSのシャットダウンは、Network-M2で設定しました。サーバのシャットダウンは、IPPで設定します。
設定 > シャットダウン
【パワーソースの構成】
パワーソース:Network-M2が接続されたUPS
負荷セグメント:マスター出力
ログイン/パスワード:Network-M2のログイン情報
【シャットダウン構成】
Remote sequence shutdown delay:なし(UPSがシャットダウンシーケンスに移行と同時にシャットダウン開始)
シャットダウンタイマー:なし
シャットダウン継続期間:180(サーバがシャットダウン開始からパワーオフになる十分時間。必要以上に大きくしないこと)
シャットダウンのタイプ:シャットダウン
シャットダウンスクリプト:空白
Server 2 シャットダウン設定
設定 > シャットダウン
【パワーソースの構成】
パワーソース:Network-M2が接続されたUPS
負荷セグメント:マスター出力
ログイン/パスワード:Network-M2のログイン情報
【シャットダウン構成】
Remote sequence shutdown delay:180(UPSがシャットダウンシーケンスに移行してから180秒後にシャットダウン開始)
シャットダウンタイマー:なし
シャットダウン継続期間:180(サーバがシャットダウン開始からパワーオフになる十分時間。必要以上に大きくしないこと)
シャットダウンのタイプ:シャットダウン
シャットダウンスクリプト:空白
Server 3 シャットダウン設定
設定 > シャットダウン
【パワーソースの構成】
パワーソース:Network-M2が接続されたUPS
負荷セグメント:マスター出力
ログイン/パスワード:Network-M2のログイン情報
【シャットダウン構成】
Remote sequence shutdown delay:300(UPSがシャットダウンシーケンスに移行してから300秒後にシャットダウン開始)
シャットダウンタイマー:なし
シャットダウン継続期間:180(サーバがシャットダウン開始からパワーオフになる十分時間。必要以上に大きくしないこと)
シャットダウンのタイプ:シャットダウン
シャットダウンスクリプト:空白
Network-M2 エージェントの設定確認
IPPの設定が完了したあとにNetwork-M2のエージェント設定を再確認します
保護 > エージェントの設定
各エージェント(IPPがインストールされたサーバ)がシャットダウン開始するまでの遅延時間と、OSシャットダウン完了までに必要な時間が一致している事を確認します。
シャットダウンテスト
UPS本体の入力電源ケーブルを抜いて、疑似停電状態にします。
[アラーム]を選択するとログを確認することができます。
[バッテリー放電]になった5分後に[連続シャットダウンが進行中です(シャットダウンシーケンス開始)]、各エージェントが停止して、15分後に[連続シャットダウン完了済み(シャットダウンシーケンス終了)]、UPSが出力停止し、UPS本体シャットダウンと推移します。
【重要】注意事項
UPSのシャットダウンシーケンスは必要最低限とし、長く設定しないように十分注意願います。OSシャットダウン時間に影響するIPPのシャットダウン継続時間も同様です。
バッテリーランタイム ≦ シャットダウンシーケンスが成立する場合、UPSは即時シャットダウンシーケンスに移行します。
具体的な数値で説明します。
600秒(10分)間バッテリー運転が継続したら、1200秒(20分)間のシャットダウンシーケンスに移行する設定になっているとします。
この時バッテリー運転になり、バッテリーが900秒(15分)しか持たないとしたら、600秒(10分)間を待ってられません。シャットダウンに必要な時間は1200秒間(20分)と設定されています。そのため、UPSは即時シャットダウンシーケンスへ移行してシャットダウン処理を進めます。
バッテリーランタイム > シャットダウンシーケンス を常に保たなくてはなりません。
- シャットダウンシーケンスは必要最低限の設定にする
- UPSの負荷を減らしてバッテリーランタイムを長くする
- UPSに拡張バッテリーを増設してバッテリーランタイムを長くする
おわりに
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