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VMware vSANのシャットダウンにIPM 1.60で対応したという事なので検証しました。
前提条件
- IPM Silver License以上が必要です。
- シャットダウン管理するIPMとvCenterは、vSAN クラスタの外に存在すること。
- vSAN ストレッチ クラスタは、サポートされていません。
今回検証したシステム構成
- VMware vSAN 5.5 x3 (vSphere HA 無効)
- 各ホストに仮想マシン2台ずつ計6台 (VMware Tools インストール済)
- Windows Server x1 (vCenter 6.5.0, IPM 1.60, Java 8 Update 172 インストール済)
- Eaton 5PX1000RT UPS + Eaton Network-MS x1
シャットダウンフロー
- 全ての仮想マシンをシャットダウンします。
- 全てのESXiホストを”No Action”のオプション付きでメンテナンスモードにします。
- 全てのESXiホストをシャットダウンします。
解説のはじめに
JAVA JRE 8のインストール、IPMのインストール、シルバーライセンス適用、インフラストラクチャーコネクターのvCenterコネクター追加が完了している前提で解説を始めさせて頂きます。
また、全ての手順を掲載すると非常に長くなるため、重要なポイントに絞って解説しています。
vCenter 管理画面
IPM ノードリスト
vSAN(仮想マシンとESXiホスト)のシャットダウン設定
構成ポリシーの作成
管理 > 構成ポリシー > 新しいポリシーの作成を押します。
構成ポリシーネーム:任意 (例:vSAN Shutdown Policy)
ターゲットノード:[クラスタ]を選択します。
クラスリスト:[Runtime threshold settings]と[パワーソース]を選択します。
タイマー:シャットダウンタイマー値を入力します。
パワーソース:電源供給元のUPSを選択します。
保存します。
構成ポリシーがリストに追加されました。
アクションの作成
設定 > アクション/イベント > 新しいアクションの作成 を選択
アクションがアクティブです:チェックします。
アクション名:任意 (例:vSAN Shutdown Action)
イベントリスト:シャットダウン基準に到達
イベントソース:上記で作成したポリシー
アクションタイプ:Cluster shutdown
設定:The cluster target:[クラスタ]を選択します。
保存します。
ポリシーが条件を満たした時に、実行したい動作(アクション)を作成しました。
以上で、vSANのシャットダウン設定は完了です。
Windows Serverのシャットダウン設定
パワーソースの構成
パワーソース:電源供給元のUPSを選択します。
負荷セグメント:UPSのコンセントグループを選択します。
ログイン:Network-MSのアカウントを入力します。
パスワード:Network-MSのパスワードを入力します。
シャットダウンの構成
シャットダウンタイマー(秒):任意
シャットダウン継続時間(秒):任意
シャットダウンのタイプ:シャットダウン
※シャットダウンタイマーは、ESXiホストのシャットダウンが確実に終わっている時間を入力します。
以上で、Windows Serverのシャットダウン設定は完了です。
UPSのシャットダウン設定
シャットダウンパラメーターの構成
[になった後]にチェックを入れます。
その右のminは、Windows Serverのシャットダウンタイマー以上の値にします。
シャットダウン待機時間:任意
..後UPSをオフする 順次シャットダウン:有効
以上で、UPSのシャットダウン設定は完了です。
仮想マシン(個別)のシャットダウン設定
cluster shutdownは、仮想マシンからESXiホストまで一気にシャットダウンしてしまいます。
仮想マシンに順番をつけてシャットダウンしたい場合、cluster shutdownより先に実行される構成ポリシーとアクションを作成します。
参考として、VM104を30秒の停電でシャットダウンする設定を紹介しています。
必要に応じて、構成ポリシーとアクションのセットを複数作成して下さい。
構成ポリシーの作成
構成ポリシーネーム:任意 (例:仮想マシン名 Shutdown Policy)
ターゲットノード:[仮想マシン]を選択します。
クラスリスト:[Runtime threshold settings]と[パワーソース]を選択します。
タイマー:シャットダウンタイマー値を入力します。
パワーソース:電源供給元のUPSを選択します。
アクションの作成
アクションがアクティブです:チェックします。
アクション名:任意 (例:仮想マシン名 Shutdown Action)
イベントリスト:シャットダウン基準に到達
イベントソース:上記で作成したポリシー
アクションタイプ:仮想マシンの電源操作
設定:パワーコマンド:ゲストのシャットダウン
設定:仮想マシンターゲット:[仮想マシン]を選択します。
起動
イートン発行の資料をそのまま訳すと、
- ユーザーがESXiのメンテナンスモードを終了します。
- ユーザーが仮想マシンを起動します。
起動は手動ということになります。
自動起動ソリューション
イベントルールの定義とアクションの組み合わせで、自動的に仮想マシンを順番に起動させる事に成功しました。
自動起動の必要が無い場合、この後の設定は必要ありません。
メンテナンスモードの終了を自動化
最初に、ESXiホストがメンテナンスモードになっているので、メンテナンスモードを終了するための設定を行います。
イベントルールの定義 ホスト1台目
イベントルールの定義は、少々複雑なので詳しく説明します。
設定 > アクション/イベント > イベントルールの編集 を選択
イベントリストの[追加]を選択
[新しい未決定イベント]を選択してOK
イベントネーム:任意 (ホスト名=通信回復&電気あり&メンテナンスモード UPS=電気あり)
イベントメッセージ:任意 (ホスト名=通信回復&電気あり&メンテナンスモード UPS=電気あり)
イベント重要度:任意 (どれを選択しても結果は変わりません)
イベントモード:すべての条件が合致したら実施
その後、[追加]を選択します
[ルールトリガー]を編集します。
[標準アラームオブジェクト]の中から[通信ロスト]を選択してOK
[ルールソース]を編集します。
[デバイスによって]の中から[ESXiホスト]を選択してOK
[ルール担当者]は[同じ]のままにしておきます。
値は 0 にしてOKを押します。(有効期間は0のままにします)
条件が1つ追加されました。
あと3つ条件を追加します。
条件:
- ホスト電源ステータス、ESXiホスト、同じ 1
- ホストメンテナンスモードステータス、ESXiホスト、同じ 1
- 電気あり、パワーソース、同じ 1
[ホスト電力ステータス]と[ホストメンテナンスモードステータス]は、標準仮想化オブジェクトの中に存在します。
[電気あり]は、標準アラームオブジェクトの中にあります。
条件が4つ追加された事を確認します。◆条件4つを下の画像とよく見比べて下さい◆
[アクションリスト]を押します。
通知とイベントログにチェックを入れてOKを押します。
関連するアクションに、通知とイベントログが追加された事を確認してOKを押します。
以上で、ホスト1台目のイベントルールの定義は完了です。
アクションの作成 ホスト1台目
設定 > アクション/イベント > 新しいアクションの作成 を選択
アクションがアクティブです:チェックします。
アクション名:任意 (例:ホスト名 メンテナンスモード 解除)
イベントリスト:上記で作成したイベントリスト
イベントソース:ESXiホスト
アクションタイプ:ホストの電源操作
設定:ホストの電源コマンド:メンテナンスモードを終了します
設定:ターゲットホスト:[ESXiホスト]を選択します。
全ての設定が終わったら保存します。
以上で、ホスト1台目の[イベントルールの定義]と[アクションの作成]が完了しました。
同じオペレーションを繰り返して、ホストの台数分の[イベントルールの定義]と[アクションの作成]を作成します。
イベントルールの定義 ホスト2台目
1台目と同じ操作のため、手順は省略しています。下記は完成版です。
アクションの作成 ホスト2台目
1台目と同じ操作のため、手順は省略しています。下記は完成版です。
イベントルールの定義 ホスト3台目
1台目と同じ操作のため、手順は省略しています。下記は完成版です。
アクションの作成 ホスト3台目
1台目と同じ操作のため、手順は省略しています。下記は完成版です。
仮想マシンを順番に起動を自動化
VM104 → VM105 → VM106 → VM107 → VM108 → VM109の順番に仮想マシンを起動させます。
最初に起動したい仮想マシンは、全てのESXiホストがメンテナンスモードを終了すると起動するように定義します。
2番目以降の仮想マシンは、一つ前のVMが起動したら、起動するように定義します。
イベントルールの定義 VM1台目
設定 > アクション/イベント > イベントルールの編集 を選択
イベントネーム:任意 (仮想マシン名=通信回復 esxi3台=OK UPS=電気あり)
イベントメッセージ:任意 (仮想マシン名=通信回復 esxi3台=OK UPS=電気あり)
イベント重要度:任意 (どれを選択しても結果は変わりません)
イベントモード:すべての条件が合致したら実施
条件:
- 通信ロスト、最初に起動したい仮想マシン、同じ 0
- ホスト電力ステータス、ホスト1台目、同じ 1
- ホスト電力ステータス、ホスト2台目、同じ 1
- ホスト電力ステータス、ホスト3台目、同じ 1
- ホストメンテナンスモードステータス、ホスト1台目、同じ 0
- ホストメンテナンスモードステータス、ホスト2台目、同じ 0
- ホストメンテナンスモードステータス、ホスト3台目、同じ 0
- 電気あり、パワーソース、同じ 1
アクションリストに、通知とイベントログを追加します。
ホスト3台の時の設定例です。4台以上の時は、ホスト電力ステータスとホストメンテナンスモードステータスを増やします。
アクションの作成 VM1台目
設定 > アクション/イベント > 新しいアクションの作成 を選択
アクションがアクティブです:チェックします。
アクション名:任意 (仮想マシン名 Power On)
イベントリスト:上記で作成したイベントリスト
イベントソース:[仮想マシン]
アクションタイプ:仮想マシンの電源操作
設定:パワーコマンド:パワーオン
設定:仮想マシンターゲット:[仮想マシン]を選択します。
設定:シャットダウンゲストタイムアウト:0
イベントルールの定義 VM2台目
イベントネーム:任意 (仮想マシン名=通信回復 一つ前の仮想マシン名=ON UPS=電気あり)
イベントメッセージ:任意 (仮想マシン名=通信回復 一つ前の仮想マシン名=ON UPS=電気あり)
イベント重要度:任意 (どれを選択しても結果は変わりません)
イベントモード:すべての条件が合致したら実施
条件:
- 通信ロスト、2番目に起動したい仮想マシン、同じ 0
- VM電力ステータス、1つ前に起動したい仮想マシン、同じ 1
- 電気あり、パワーソース、同じ 1
アクションリストに通知とイベントログを追加します。
アクションの作成 VM2台目
1台目と同じオペレーションです。(3台目以降も同じオペレーションです)
イベントルールの定義 VM3台目
2台目と同じオペレーションです。(4台目以降も同じオペレーションです)
アクションの作成 VM3台目
イベントルールの定義 VM4台目
アクションの作成 VM4台目
イベントルールの定義 VM5台目
アクションの作成 VM5台目
イベントルールの定義 VM6台目
アクションの作成 VM6台目
シャットダウンテスト
UPSの電源ケーブルを抜いて、バッテリー運転にします。
イベントリストに移動して、設定した通りの動作をしているか確認します。
起動テスト
UPSと全てのホストがシャットダウンしたら、UPSの電源ケーブルを挿して復旧します。
仮想マシンが起動しない場合、Windows Serverが早くシャットダウンし過ぎている可能性があります。
※ホスト(サーバ)のハードウェア的な自動電源ONは、BIOSの設定変更が必要です。
おわりに
Eaton IPM は、VMware vSANに対応しました。仮想マシンを指定通りに起動させる事にも成功しました。
以上、村田@ダイトロンがお届けしました。
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