ブログ内検索
Eaton IPMからIPMIを使用したサーバー電源オンの手順を紹介します。復電時の電源回復後に、Eaton IPMからサーバーの電源をONしたい時に有効な起動ソリューションとなります。
サーバーの電源保護は、Eaton UPSとEaton IPMを提案させて頂きます。
※IPMとIPMIが似ているため、このページではIPMをEaton IPMと表記しています。
検証結果
- Eaton IPMがバッチファイル(.bat)を経由してIPMIコマンドを実行可能
- 時間差をつけてサーバーを起動したい場合、バッチファイルにtimeoutコマンドを記述します
前提条件
- Eaton IPM シルバーライセンス必須
- Eaton IPMがインストールされた管理サーバーは、復電時に自動起動するようにBIOSの設定が必要
- リモート起動したいサーバーがIPMIに対応していること
検証環境
リモート起動対象サーバー
- HPE ProLiant DL380p Gen9 x3
管理サーバー
- Windows Server 2012R2 + Eaton IPM 1.61 build 215 with Silver License
UPS
- Eaton 9PX1500RT UPS + Eaton Network-MS
起動フロー (復電時)
- UPS 起動
- Windows Server (管理サーバー) 起動 ※BIOSのAC Power Recovery=[Power On]設定
- リモート起動対象サーバー 起動 ※Eaton IPMからIPMIを使用した起動
UPS 起動 設定
デフォルトの設定のままで、UPSは自動的に出力開始します。
※シャットダウンテスト後の復電で、自動的に出力開始しなければ、On/Off settings → Start/Restart → Auto restart : Enabeled に設定を戻します。
Windows Server (管理サーバー) 起動 設定
復電時の電源回復で自動的に起動するように、マザーボードのBIOSの電源回復を[Power On]に設定します。
メーカーによって、AC Power Recovery, After Power Failure, Restore AC Power Lossなど呼び名が異なります。
リモート起動対象サーバーのIPMI 設定
IPMIはメーカーによって名称が異なります。DELLがiDRAC、HPEがiLOです。
IPMIの設定は、弊社の範囲外とさせて頂きます。各メーカーに確認の上、IPMIが利用できるように設定をお願い致します。
本解説のIPMIアクセスのアカウントは admin、パスワードは admin です。
IPMI Management Utilities インストール
Windows ServerでIPMIコマンドを実行できるように、IPMI Management Utilitiesをインストールします。
手順はこちらのテクニカルブログをご覧ください。
バッチファイル作成
バッチファイルを1つ作成します。
時間差をつけてサーバーを起動したい場合、バッチファイルにtimeoutコマンドを記述します。
server_power_on.bat
C:\ipmiutil-3.1.2-win64\ipmiutil.exe power -u -N 192.168.0.1 -U admin -P admin timeout 60 /nobreak C:\ipmiutil-3.1.2-win64\ipmiutil.exe power -u -N 192.168.0.2 -U admin -P admin timeout 60 /nobreak C:\ipmiutil-3.1.2-win64\ipmiutil.exe power -u -N 192.168.0.3 -U admin -P admin
※本解説では、C:\ipmiutil-3.1.2-win64\ にバッチファイルを設置しました。
起動対象サーバー 電源オンフロー
Windows Serverが起動すると、自動的にEaton IPMのサービスが開始します。
Eaton IPMのサービスが開始してから何秒後に、作成したバッチを実行するかの設定が可能です。
※本解説では、Eaton IPMのサービス開始から30秒後に上記バッチファイルを実行するように設定しています。
Eaton IPM 1.61 インストール
インストール手順は省略します。
Eaton IPM 初期設定
ログイン
ログイン:admin、パスワード:adminでログインします。
更新設定の編集
設定 > システム > 更新設定の編集 を押します
間隔:[指定なし]に変更して保存します
モジュール設定の編集
設定 > システム > モジュール設定の編集 を押します
[シャットダウン]、[インフラストラクチャーコネクター]、[冗長性]にチェックを入れて保存します
シルバーライセンスの適用
シルバーライセンスにアップグレードするには、「プロダクトキー」が必要となります。
弊社から届いた「プロモーションコード」をご準備の上、下記URLの手順に従って「プロダクトキー」を入手して下さい。
シルバーライセンス、ゴールドライセンスのプロダクトキー取得手順
Eaton IPM 起動対象サーバー 設定
イベントルールの作成
設定 > アクション/イベント > イベントルールの編集 を押します
イベントリスト:[追加]を押します
[新しい未決定イベント]のまま、OKを押します。
イベントリストのカスタムに[新しいイベント_X]が作成されました。
続いて、右側のイベント定義を編集します
イベントネーム:任意 (例:IPMI power on to servers)
イベントメッセージ:任意 (例:IPMI power on to servers)
イベント重要度:任意 (例:情報)
イベントモード:すべての条件が合致したら実施
上記4項目を編集後、[追加]を押します
ルール定義が出現します。各項目を編集してルールを5種作成します。
「ルール1」
ルールトリガー:ソフトウェア起動ステータス (標準システムオブジェクトの中にあります)
ルールソース:IPMをインストールしたWindows Server
ルール担当者:同じ
値:1 (=IPM起動状態)
有効期間:30 (この値がIPM起動後のアクション実行までのウェイトタイマーです。1分待つなら60に設定します)
「ルール2」
ルールトリガー:通信ロスト (標準アラームオブジェクトの中にあります)
ルールソース:リモート起動対象サーバー
ルール担当者:同じ
値:1 (=通信ロスト)
有効期間:0
※リモート起動対象サーバーが複数ある場合、ルール2を台数分作成したほうが起動条件がタイトになります
「ルール3」
ルールトリガー:バイパス中 (標準アラームオブジェクトの中にあります)
ルールソース:パワーソースのUPS
ルール担当者:同じ
値:0 (=バイパス中ではない)
有効期間:0
「ルール4」
ルールトリガー:電気あり (標準アラームオブジェクトの中にあります)
ルールソース:パワーソースのUPS
ルール担当者:同じ
値:1 (=AC入力電源あり)
有効期間:0
「ルール5」
ルール1~4だけだと、何かしらの影響で一時的に通信が途切れて通信ロストが発生すると全てのルールを満たしてしまいます。そのため、この後で作成するアクションを実行してしまいます。これを避けるために、停電後の電源回復以外の時はIPMに何もさせないようなルールを追加します。
具体的には、「UPSのバッテリー容量%が指定値以下の時」です。本解説では、バッテリー容量98%以下をルール5として追加しています。98より低い数値を設定しても構いません。正常な状態ではUPSの容量が99%~100%である事がほとんどのため、ルール5を満たしません。そのため、IPMは何もしなくなります。
ルールトリガー:バッテリー容量% (標準シャットダウンオブジェクトの中にあります)
ルールソース:パワーソースのUPS
ルール担当者:低い
値:98 (91~98の間を推奨します)
有効期間:0
ルール5種7個が追加されました
右下の[アクションリスト]を押します
[通知]と[イベントログ]にチェックを入れてOKを押します
関連するアクションに追加された事を確認してOKを押します
アクションの作成
設定 > アクション/イベント > 新しいアクションの作成 を押します
新しいアクションの作成ウィンドウが出現します
アクション名:任意 (例:IPMI power on to servers Action)
イベントリスト:先ほど作成したイベントにチェックを入れて、OKを押します
イベントソース:任意のソース
アクションタイプ:コマンド
コマンドを定義します
バッチファイルが置いてある場所を絶対パスで入力します。
c:\ipmiutil-3.1.2-win64\server_power_on.bat
入力したらOKを押します。
コマンドに反映された事を確認して保存します
定義したイベントが発生した時に、連動して動作するアクション[IPMI power on to servers Action]が完成しました
停電時のシャットダウン後の電源回復を想定したテスト
UPSの入力電源ケーブルを抜いて、システム全体をシャットダウンします。※シャットダウン設定は他のブログにて紹介しております。
UPSの容量(%)が設定した閾値(今回であれば98%)より下回っている事を確認してから、入力電源ケーブルを接続します。
Windows Serverの電源が入り、OSが起動した後に他のサーバーの電源が入る事を確認します。
おわりに
電源回復時にサーバーを指定した順番に時間間隔をつけて起動することができます。
サーバーの電源保護は、Eaton UPSとEaton IPMを提案させて頂きます。
以上、村田@ダイトロンがお届けしました。