Eaton UPS(イートン 無停電電源装置) テクニカルブログ

【Network-M2】 複数UPS構成時の任意UPSがバッテリー運転した時のアクション

【重要】対応終了のお知らせ

イベント定義(カスタムイベント)は、IPM1のバージョンアップ、Cardのファームウェアアップ、UPS機種およびファームウェアアップ、その他環境など様々な要因により、ブログ公開時に検証した時は動作していましたが、期待動作をしなくなりました。そのため、本ブログ内容[【Network-M2】 複数UPS構成時の任意UPSがバッテリー運転した時のアクション]に関してサポートを終了致します。

※IPM2は、ユーザーがイベントを定義できない仕様に変更されました。

新ライセンス販売のお知らせ

2020年9月、IPMの新ライセンス(Optimize License)を販売しました。
テクニカルブログ内の文章および画像の旧ライセンス(Silver License、Gold License)は、全てOptimize Licenseに置き換えてお読み下さい。よろしくお願い致します。

前提条件(必要構成)

  • Eaton UPS x3
  • Eaton Network-M2 F/W 1.7.5 x3
  • Eaton IPM 1.68 with Silver License x1

注意事項

※今ここで読んでも理解し難いと思いますが、重要なので冒頭に記載しました。記事の途中でも記載してあります。

UPS AとBとCが300秒バッテリー運転すると、ABCのイベントが発生します。このあとに、UPS Cが復旧(電源回復)すると、条件式的にABのイベントが発生します。さらに、 Bが復旧(電源回復)すると、条件式的にAのイベントが発生します。

上記の様なかなりイレギュラーなUPS動作に対して、イベントを発生させないようにすることはできません。予めご了承下さい。

シャットダウンタイマー

UPSが300秒バッテリー運転したら、シャットダウン確定。600秒待機して(接続負荷機器のシャットダウンを待って)からUPSシャットダウン。

はじめに

OpenJDK 8 インストール、IPM インストール、ライセンス適用、自動更新の無効、モジュールの追加など、過去のブログで紹介している手順は省略しております。複数UPS構成時の任意UPSがバッテリー運転した時に[イベント]を発生させる手順に特化しています。

ノードリスト

IPMがインストールされたWindows ServerとUPS 3台です。

UPS シャットダウン設定

UPSが300秒バッテリー運転したら、シャットダウン確定。UPSに接続された負荷機器(OS)がシャットダウンするまで、600秒待機してからUPSシャットダウン。また、バッテリーランタイムが720秒を下回った場合も、シャットダウン確定するように設定しています。画像は1台分ですが、全てのUPSで同じ設定にします。

Network-M2 > 保護 > 停電ポリシー

ポリシー:カスタムポリシー
 バッテリーモードの時間が300秒を超えた場合
  または
 バッテリーランタイムが720秒を下回った場合
どちらかを満たした時に、シャットダウンシーケンス開始(シャットダウン確定)

Network-M2 > 保護 > エージェントの設定

シャットダウン確定後、UPSに接続された負荷機器(OS)がシャットダウンするまで、UPSが待機する時間:600秒

パワーソース設定

設定 > シャットダウン > パワーソースを編集

パワーソースは設定しません。

シャットダウンの構成

設定 > シャットダウン > シャットダウン構成の編集

パワーソースが無いため、特に設定する必要はありませんが、意図しないシャットダウンが発生しないためにも「シャットダウンのタイプ」を[スクリプト]に変更しておくことを推奨します。

シャットダウンタイマー(秒): 0 (なし)
シャットダウン継続期間(秒): 120
シャットダウンのタイプ  : スクリプト
シャットダウンスクリプト : 空白 (なし)

構成ポリシー

管理 > 構成ポリシー

ターゲットノードがUPSで、そのパワーソースもUPSという構成ポリシーを作成します。タイマーは必ず -1 です。UPSの台数分作成します。この解説では3つ作成します。

UPS Aだけが300秒以上バッテリー運転した時にイベントを発生させる

UPS Aだけが300秒バッテリー運転した時にイベントを発生させます。

設定 > アクション/イベント > イベントルールの編集

イベントリストの[追加]を押します。

[新しい未決定イベント]を選択します。
(以後、コピーを使用して作成したくなりますが、常に新しい未決定イベントを選択する事を推奨しています)

イベントネーム  :半角英数で任意 (例:UPS-A Battery mode 300s)
イベントメッセージ:半角英数で任意 (例:上と同じ)
イベント重要度  :任意 (例:警告)
イベントモード  :すべての条件が合致したら実施

上記を終えたら、[追加]を押して条件を追加します。

[条件1] UPS-Aのバッテリー実行時間が300秒より多い

[条件2] UPS-Aのマスターシャットダウン遅延が0秒以外(相違)

[条件3] UPS-Bの電気あり(入力電源あり)

[条件4] UPS-Cの電気あり(入力電源あり)

下記画像と見比べて、等しくなっていれば、[アクションリスト]を押します。

[通知]と[イベントログ]にチェックを入れて保存します。

イベントの完成画面です

UPS Bだけが300秒以上バッテリー運転した時にイベントを発生させる

同じ手順になるため、注意点のみ記載。

・新しい未決定イベントを選択する(コピーは使用しない)
・半角英数で構成する(日本語は使用しない)
・異常系イベント条件を上位にする
・関連するアクションに[通知]と[イベントログ]を追加する

UPS-B バッテリー実行時間 300秒より多い
UPS-B マスターシャットダウン遅延 0秒以外(相違)
UPS-C 電気あり(入力電源あり) 同じ 1
UPS-A 電気あり(入力電源あり) 同じ 1

UPS Cだけが300秒以上バッテリー運転した時にイベントを発生させる

同じ手順になるため、注意点のみ記載。

・新しい未決定イベントを選択する(コピーは使用しない)
・半角英数で構成する(日本語は使用しない)
・異常系イベント条件を上位にする
・関連するアクションに[通知]と[イベントログ]を追加する

UPS-C バッテリー実行時間 300秒より多い
UPS-C マスターシャットダウン遅延 0秒以外(相違)
UPS-A 電気あり(入力電源あり) 同じ 1
UPS-B 電気あり(入力電源あり) 同じ 1

UPS AとBが同時に300秒以上バッテリー運転した時にイベントを発生させる

同じ手順になるため、注意点のみ記載。

・新しい未決定イベントを選択する(コピーは使用しない)
・半角英数で構成する(日本語は使用しない)
・異常系イベント条件を上位にする
・関連するアクションに[通知]と[イベントログ]を追加する

UPS-A バッテリー実行時間 300秒より多い
UPS-A マスターシャットダウン遅延 0秒以外(相違)
UPS-B バッテリー実行時間 300秒より多い
UPS-B マスターシャットダウン遅延 0秒以外(相違)
UPS-C 電気あり(入力電源あり) 同じ 1

UPS BとCが同時に300秒以上バッテリー運転した時にイベントを発生させる

同じ手順になるため、注意点のみ記載。

・新しい未決定イベントを選択する(コピーは使用しない)
・半角英数で構成する(日本語は使用しない)
・異常系イベント条件を上位にする
・関連するアクションに[通知]と[イベントログ]を追加する

UPS-B バッテリー実行時間 300秒より多い
UPS-B マスターシャットダウン遅延 0秒以外(相違)
UPS-C バッテリー実行時間 300秒より多い
UPS-C マスターシャットダウン遅延 0秒以外(相違)
UPS-A 電気あり(入力電源あり) 同じ 1

UPS CとAが同時に300秒以上バッテリー運転した時にイベントを発生させる

同じ手順になるため、注意点のみ記載。

・新しい未決定イベントを選択する(コピーは使用しない)
・半角英数で構成する(日本語は使用しない)
・異常系イベント条件を上位にする
・関連するアクションに[通知]と[イベントログ]を追加する

UPS-C バッテリー実行時間 300秒より多い
UPS-C マスターシャットダウン遅延 0秒以外(相違)
UPS-A バッテリー実行時間 300秒より多い
UPS-A マスターシャットダウン遅延 0秒以外(相違)
UPS-B 電気あり(入力電源あり) 同じ 1

UPS AとBとCが同時に300秒以上バッテリー運転した時にイベントを発生させる

同じ手順になるため、注意点のみ記載。

・新しい未決定イベントを選択する(コピーは使用しない)
・半角英数で構成する(日本語は使用しない)
・異常系イベント条件を上位にする
・関連するアクションに[通知]と[イベントログ]を追加する

UPS-A バッテリー実行時間 300秒より多い
UPS-A マスターシャットダウン遅延 0秒以外(相違)
UPS-B バッテリー実行時間 300秒より多い
UPS-B マスターシャットダウン遅延 0秒以外(相違)
UPS-C バッテリー実行時間 300秒より多い
UPS-C マスターシャットダウン遅延 0秒以外(相違)

注意事項(重要のため再掲載)

UPS AとBとCが300秒バッテリー運転すると、ABCのイベントが発生します。このあとに、UPS Cが復旧(電源回復)すると、条件式的にABのイベントが発生します。さらに、 Bが復旧(電源回復)すると、条件式的にAのイベントが発生します。

上記の様なかなりイレギュラーなUPS動作に対して、イベントを発生させないようにすることはできません。

作成したイベント発生時と同時に、任意のアクションを実行する

イベントが発生しただけでは何も実行されないので、イベントが発生したと同時にアクションを実行するように設定します。ここでは、UPS Aだけ300秒バッテリー運転したイベント(UPS-A battery mode 300s)を例に関連付けを行っております。必要な数のアクションを作成し、イベントと関連付けを実施してください。実行したいアクションは各ユーザーによって異なるため、あえて選択しておりません。

設定 > アクション/イベント > 新しいアクションの作成

アクション名:半角英数で任意(例:UPS-A battery mode 300s Action)
イベントリスト:編集アイコンを押します

イベントリスト:関連付けたいイベントを選択(例:UPS-A battery mode 300s)

イベントソース:任意のソース
アクションタイプ:プルダウンの中から選択

イベント連鎖

ここまでで、各イベントとアクションができました。アクションを1回だけ実行すれば十分なら、これ以上設定する必要はありません。時間を空けてアクションを複数回実行したい場合、さらにイベントを発生させてアクションを関連付ける必要があります。

解説ではイベント「UPS-B battery mode 300s」が発生した後、1分間隔でイベントを8回発生させています。アクションは任意のイベントと関連付けが可能のため、例えば、3分後、5分後、8分後のイベントと関連付けて、アクションを実行させる事ができます。アクションと関連付けていないイベントがあっても構いません。

イベント連鎖の起点となる UPS-B battery mode 300s を開きます。

条件一覧の最上位の[ソース]をメモします。

※連鎖作成の肝となります。いままで作成したイベントは、最上位の[ソース]が異なります。イベント連鎖の起点ごとにご確認ください。

イベント連鎖 作成

イベントを新規作成します。イベント連鎖1分後の例です。

イベントネーム  :半角英数で任意 (例:UPS-B battery mode 300s+60s)
イベントメッセージ:半角英数で任意 (例:上と同じにする)
イベント重要度  :任意 (例:警告)
イベントモード  :すべての条件が合致したら実施

ルール定義が大きく異なります。

ルールトリガー:このイベントの1つ前に位置するイベント
ルールソース :メモした[ソース] (起点となるイベントの最上位のソース)
ルール担当者 :同じ
値      :1
有効期間   :60 (連鎖間隔タイム。注意:300以上の値は無効となり、0秒扱いとなります。)

イベント作成後は、[適用]ボタンを押して、高度なイベント定義ウィンドウを閉じる事。ウィンドウを閉じないと、次のイベント作成時にこのイベントが表示されません。

イベント連鎖2~8分後は同じ手順になるため、注意点のみ記載。

・新しい未決定イベントを選択する(コピーは使用しない)
・半角英数で構成する(日本語は使用しない)
・ルールトリガーは、連鎖順の1つ前に位置するイベント
・ソースは、メモした[ソース] (連鎖の起点となるイベントの最上位のソース)
・関連するアクションに[通知]と[イベントログ]を追加する
・最後に[適用]ボタンを押して、高度なイベント定義ウィンドウを都度閉じる事

イベント連鎖2分後の見本

イベント連鎖3分後の見本

イベント連鎖4分後の見本

イベント連鎖5分後の見本

イベント連鎖6分後の見本

イベント連鎖7分後の見本

イベント連鎖8分後の見本

作成したイベント発生時と同時に、任意のアクションを実行する

連鎖で作成したイベントも、単なるイベントです。イベントが発生しただけでは何も実行されないので、イベントが発生したと同時にアクションを実行するように設定します。アクションは任意のイベントと関連付けが可能のため、例えば、3分後、5分後、8分後のイベントと関連付けて、アクションを実行させる事ができます。アクションと関連付けていないイベントがあっても構いません。

アクションの作成は、既に解説済みのため省略します。

イベント発生テスト(停電テスト)

UPSの入力電源ケーブルを抜いて、バッテリー運転にします。バッテリーランタイムが十分に確保されていることを確認してから実施してください。
※画像を保存すれば、拡大画像で確認する事ができます。

[UPS-A バッテリー運転]

[UPS-B バッテリー運転]

1分間隔でイベント発生します

[UPS-AとB バッテリー運転]

A単体、B単体のイベントは発生しません

[UPS-AとBとC バッテリー運転]

1台のイベント、2台のイベントは発生しません

3台イベントの後に1台電源回復すると、2台イベントが発生します。2台イベントの後に1台電源回復すると、1台イベントが発生します。イベント発生条件上、後発イベントを発生させないようにはできません。

おわりに

複数UPS構成時の任意UPSがバッテリー運転した時のアクションですが、設定の必要があるのか十分に検討してください。ビル停電が発生したら、サーバールームへの電源供給が断たれるため、全部のUPSがバッテリー運転します。一部のUPSだけが(仮に)10分間バッテリー運転して、その他のUPSが正常運転し続けるアクシデントが、どれくらい発生し得るのかUPSを設置する環境で想定願います。

イベント数(UPSの組み合わせ数) × イベント連鎖数+1(イベントの親があるため) の数だけ[イベントルール]を作成する必要があります。UPS3台でイベント数 7 、イベント連鎖 8なら、7 x (8+1) = 63個のイベントを作成します。作成するアクションも増えます。イベント数分のシャットダウンテストを実施する事になります。UPSの台数が多いほど、作業工数が増加します。

特に必要が無ければ、全部のUPSがバッテリー運転した場合のイベントルールのみを作成して下さい。

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