Eaton UPS(イートン 無停電電源装置) テクニカルブログ

【IPM】 シャットダウン for vCSA on vSphere HA by IPM 1.68

vCenter Server Appliance (vCSA)がvSphere HA上に存在する構成のシャットダウン検証をIPM 1.68 + Network-M2で実施しました。

検証結果

  • Eaton IPM 1.68は、VMware vSphere 6.7のシャットダウンに対応しています。
  • IPMがインストールされた仮想マシンのみ、vCSAが存在するESXiに移行します。
  • 復電時、vSphere HAはオンになります。
  • 仮想マシンの起動順序を指定可能です。指定した時間間隔を空けて起動も可能です。

前提条件

  • Eaton IPM Optimize Licenseが必要
  • 仮想マシンにWindows Serverが存在すること(無ければ、アプライアンス版IPM-VAのデプロイでも可)
  • 全ての仮想マシンにVMware Toolsがインストールされていること

検証環境

VMware vSphere HA

  • VMware ESXi 6.7.0 build-8169922 x2
  • VMware VM x8

VMware VM

  • VMware vCenter Server Appliance 6.7.0 build-16709110 x1
  • Windows Server 2012R2 (Eaton IPM 1.68 with Optimize License) x1
  • Windows Server 2012R2 x3
  • CentOS 8.2 x3

Eaton UPS

  • 9PX1500RT + Network-M2 x1

シャットダウンフロー (停電時)

  1. 仮想マシングループ 1 シャットダウン ※3の一括シャットダウンで十分なら、不要
  2. 仮想マシングループ 2 シャットダウン ※3の一括シャットダウンで十分なら、不要
  3. 起動中の仮想マシン(vCSA, IPM-Winを除く) 一括シャットダウン
  4. vSphere HA オフ
  5. 仮想マシンIPM-WinをvCSAが存在するESXiホストに移行
  6. ESXiの「仮想マシンの起動およびシャットダウン」を再設定 (シャットダウン動作:ゲストシャットダウン、起動:自動起動)
  7. ESXiにシャットダウン指令 (vCSA, IPM-Winをシャットダウンした後に、ESXiシャットダウン)
  8. UPS シャットダウン

※3~7は一連のアクション(クラスターのシャットダウン)として実行されます。

起動フロー (復電時)

  1. UPS 自動起動
  2. ESXi 自動起動 ※BIOSのPower Recovery設定:Always Onが必要
  3. 仮想マシン(vCSA, IPM-Win) 自動起動
  4. vSphere HA オン
  5. 仮想マシングループ 2 起動
  6. 仮想マシングループ 1 起動

※必要に応じて、ESXiホストの「仮想マシンの起動およびシャットダウン」の設定を再設定(元に戻)して下さい。

シャットダウン シーケンス

この解説では、5分間のバッテリー運転でシャットダウンシーケンス開始。シャットダウンシーケンスが開始してから10分間後にUPSシャットダウンとしています。停電から5分以内に復電した場合、何もアクションしません。
UPSがシャットダウンシーケンス中に、システム全体がシャットダウンするように、各アクションの開始時間を設定します。

5分経過:VM Group 1 シャットダウン開始
6分経過:VM Group 2 シャットダウン開始
8分経過:vSphere HA シャットダウン開始
15分経過:UPS シャットダウン開始

検証環境のシャットダウン設定

ここから、実際の設定手順を解説します。
簡易な箇所・繰り返しのオペレーションになる箇所は、手順を省略させて頂きます。

最後にシャットダウンしたいWindows ServerにてIPMインストール・設定をおこないます。

UPS シャットダウン設定

Network-M2ページの[設定手順]を参照して、IPアドレス設定~復電時の出力制御までの設定を実施してください。

[5分間バッテリー運転した時] または [バッテリー運転可能時間が10分を下回った時]にシャットダウンシーケンス開始の設定例

保護 > 停電ポリシー

[シャットダウンシーケンスが開始してから10分後]にUPSシャットダウンの設定例

保護 > エージェントの設定

Open JDK 1.8 インストール

IPMをインストールする前に、Open JDK 1.8 をインストールします。
あとからOpen JDK 1.8 をインストールした場合、IPMのサービスを「停止」→「開始」します。

インストール手順はこちらのブログで確認できます。

Eaton IPM 1.68 for Windows インストール

上のブログに記載があるため、インストール手順は省略します。

初期設定

ログイン

ログイン:admin、パスワード:adminでログインします。

更新設定の編集

設定 > システム > 更新設定の編集

間隔:[指定なし]に変更して保存します

モジュール設定の編集

設定 > システム > モジュール設定の編集

[シャットダウン]、[インフラストラクチャーコネクター]、[冗長性]にチェックを入れて保存します

ライセンス適用

設定 > システム > システム情報の編集

ライセンスキーを入力して保存します

ライセンスがManageからOptimizeに変更されました

インフラストラクチャーコネクター

設定 > インフラストラクチャーコネクター > コネクターの追加

プルダウンの中から、VMware vCenter を選択します

IPアドレス、ユーザー名、パスワードを入力して保存します

vCenterコネクターが追加されました

ノードリストの確認

ノードリスト

設定 > 自動検出

※IPMがインストールされている仮想マシンとvCSAは、オレンジ色のアイコンになります。他の仮想マシンは青色です。

UPSを選択して、ノードアクセスパラメーターの設定

Network-M2にログインするユーザー名とパスワードを入力して保存します

※IPMにログインするパスワードを変更した場合、IPM(デスクトップのアイコン)を選択してノードアクセスパラメーターを再設定します

VM Group 1 作成

構成ポリシー

管理 > 構成ポリシー

構成ポリシーネーム:任意 ※半角英数字推奨
ターゲットノード:このグループに所属させたい仮想マシンを選択して追加します。
クラスリスト:空欄

※ターゲットノードに、オレンジ色の仮想マシン(vCSAとIPM-Win)は所属させないこと

VM Group 2 作成

構成ポリシー

管理 > 構成ポリシー

構成ポリシーネーム:任意 ※半角英数字推奨
ターゲットノード:このグループに所属させたい仮想マシンを選択して追加します。
クラスリスト:空欄

※ターゲットノードに、オレンジ色の仮想マシン(vCSAとIPM-Win)は所属させないこと

IPMをUPS(Network-M2)のエージェントリストに追加する設定

構成ポリシー

管理 > 構成ポリシー

構成ポリシーネーム:任意 ※半角英数字推奨
ターゲットノード:UPSを1つ選択
クラスリスト:Runtime threshold settings, パワーソースを選択

タイマー:-1 (他の値を設定しないこと)
パワーソース:UPSを選択 (ターゲットノードで選択したUPS)

※UPSが複数台ある場合、台数分の構成ポリシーを作成すること (ターゲットノードで選択したUPSをパワーソースでも選択すること、タイマーは必ず -1)

5分間バッテリー運転でシャットダウン基準に到達するポリシー

構成ポリシー

管理 > 構成ポリシー

構成ポリシーネーム:任意 ※半角英数字推奨
ターゲットノード:クラスターを選択
クラスリスト:Runtime threshold settings, パワーソースを選択

タイマー:300 (シャットダウンタイマーの値を設定。10分なら600)
パワーソース:UPSを選択

シャットダウン基準到達後、60秒間隔でイベントを発生させる

上記で作成したポリシーがシャットダウン基準に到達した時に、イベントが発生するようにイベントルールを作成します。

イベントルール

設定 > アクション/イベント > イベントルールの編集

イベントネーム:任意 ※半角英数字推奨
イベントメッセージ:任意 ※半角英数字推奨
イベント重要度:任意
イベントモード:すべての条件が合致したら実施

[ルール]
ルールトリガー:シャットダウン基準に到達
ルールソース:クラスターを選択
ルール担当者:同じ
値:1
有効期間:0

関連するアクションに、[通知]と[イベントログ]を追加します

最後に、ウインドウ下部の[OK]を押して、このイベントを保存する必要があります。

上記イベントが発生した後、60秒間隔でイベントが発生するように設定します。

イベントルール

設定 > アクション/イベント > イベントルールの編集

【注意事項】イベントを追加する時に、既存イベントをコピーして追加したくなりますが、[新しい未決定イベント]を選択して作成することを推奨しております。コピーで作成したイベントが、正常動作しなかった事例があります。

イベントネーム:任意 ※半角英数字推奨
イベントメッセージ:任意 ※半角英数字推奨
イベント重要度:任意
イベントモード:すべての条件が合致したら実施

[ルール]
ルールトリガー:1つ前に作成したイベントを選択
ルールソース:クラスターを選択
ルール担当者:同じ
値:1
有効期間:60 (イベント発生間隔タイム、最大値は300。301以上を設定すると、0扱いになります)

関連するアクションに、[通知]と[イベントログ]を追加します

最後に、ウインドウ下部の[OK]を押して、このイベントを保存する必要があります。

以下、同じオペレーションの繰り返しのため、完成版画像を掲載。

Point!
イベント作成時は、新しい未決定イベントを選択。ルールトリガーは、1つ前に作成したイベントを選択。都度、ウインドウ下部の[OK]を押して、イベントを保存する。

イベント連鎖 動作確認

ここでUPSの入力電源ケーブルを抜いて、イベント連鎖の動作確認を実施しておく事を推奨しています。IPMはイベントが発生するだけで、何もアクションしません。しかしながら、UPSはシャットダウンしてしまうため、UPSに負荷機器を何も接続しない状態での動作確認をお願いします。

VM Group 1 シャットダウン設定

仮想マシンを一括シャットダウンで可(順序付けてシャットダウンしなくて可)の場合、このアクションを作成する必要はありません。

アクション

設定 > アクション/イベント > 新しいアクションの作成

アクション名:任意 ※半角英数字推奨
イベントリスト:作成したイベントの中から任意のイベントを選択 (この関連付けにより、該当イベント発生時にこのアクションが実行されます)
イベントソース:任意のソース
アクションタイプ:仮想マシンの電源操作

パワーコマンド:ゲストのシャットダウン
仮想マシンターゲット:VM Group 1
シャットダウンゲストタイムアウト:120 (シャットダウン実行後、指定した秒数後にパワーオフを実行します。シャットダウン実行後にフリーズ等でシャットダウンしなかった時のためのソリューションです。使用しない場合は0にします。)

VM Group 2 シャットダウン設定

仮想マシンを一括シャットダウンで可(順序付けてシャットダウンしなくて可)の場合、このアクションを作成する必要はありません。

アクション

設定 > アクション/イベント > 新しいアクションの作成

アクション名:任意 ※半角英数字推奨
イベントリスト:作成したイベントの中から任意のイベントを選択 (この関連付けにより、該当イベント発生時にこのアクションが実行されます)
イベントソース:任意のソース
アクションタイプ:仮想マシンの電源操作

パワーコマンド:ゲストのシャットダウン
仮想マシンターゲット:VM Group 2
シャットダウンゲストタイムアウト:120

vSphere HA シャットダウン設定

[クラスタのシャットダウン]アクションは、クラスタ全体をシャットダウンしますが、最初の動作として、起動中の仮想マシン(vCSA, IPM-Winを除く)を一括シャットダウンします。
つまり、Group 1,2に所属していない仮想マシンがあっても、このアクションによってシャットダウンします。仮想マシンを一括シャットダウンで可(順序付けてシャットダウンしなくて可)であれば、このアクション1つだけで、クラスタ全体をシャットダウンします。

アクション

設定 > アクション/イベント > 新しいアクションの作成

アクション名:任意 ※半角英数字推奨
イベントリスト:作成したイベントの中から任意のイベントを選択 (この関連付けにより、該当イベント発生時にこのアクションが実行されます)
イベントソース:任意のソース
アクションタイプ:クラスタのシャットダウン

クラスターターゲット:クラスタを選択
重要な仮想マシン:-無し-
仮想マシンシャットダウンゲストタイムアウト:120
仮想マシン移動タイムアウト:120

シャットダウンテスト

UPSのバッテリーランタイムが十分に確保されている事を確認してから、UPSの入力電源ケーブルを抜いてシャットダウンテストを実施します。

イベント発生と同時に、関連付けたアクションが実行される事を確認してください。

おわりに

復電時に、自動起動させる手順はこちらのブログにて紹介しております。

Eaton IPM 1.68 は、VMware vSphere 6.7 にシャットダウン対応しています。

IT機器の電源保護は、Eaton UPSとEaton IPMを提案させて頂きます。

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